2002/12/01

但馬曹洞宗青年会研修旅行 「愛媛・瑞応寺拝登の旅」を終えて

 11月14〜15日の2日間、但馬曹洞宗青年会の研修旅行がありました。 今年は7人の参加者が車1台に乗り合わせ、下記の日程で愛媛・香川県への旅をしました。

1日目:曹洞宗佛国山瑞応寺(ズイオウジ:愛媛県新居浜市)〜道後(泊)
2日目:窯元見学(愛媛県砥部町)〜浄土宗仏生山法然寺(ホウネンジ:香川県高松市)


 仏国山瑞応寺様は1448年に庄司山城主11代松木景村公が堂宇を建立した時から始まる寺で、明治30年より専門僧堂を開設し雲水(ウンスイ:修行僧)を指導するとともに、境内西側には300人の園児を受け持つひかり幼稚園もあり、子女の育成にも尽くしている寺です。
 研修1日目午後1時に到着した時、瑞応寺様境内では秋祭りが行われていました。 庫裏玄関での挨拶を終えると、私たちはすぐさま本堂に案内されました。 祭囃子の流れる中本堂に入ると、雲水が私たちのために読経の準備をしていました。 そこで私たちは般若心経を読経いたしました。 新居浜市は但馬から車で数時間の距離ですが、とても暖かく気候の違いを感じながら読経させていただきました。
 読経終了後は、楢崎通元(ナラサキツウゲン)堂頭和尚(ドウチョウオショウ)様が私たちを僧堂などの伽藍へと案内してくださいました。 ちょうど紅葉の時期ということもあって、見事に色づいた樹齢約1000年といわれる大銀杏についてもご説明していただきました。 その黄色く色づいた葉は、風と共にぱらぱらと散っていました。
 伽藍説明の後は客間にてお抹茶をいただきました。 何人かの雲水に給仕していただいたのですが、いくらお客だとはいえ、私も来年の春から永平寺の雲水(ウンスイ:修行僧)となる身、少し申し訳ないような気がしました。 最後に達磨絵が描かれた小さな屏風をお土産にいただきました。 その屏風には「體露金風(タイロキンプウ)」という文字も書かれていました。

  雲門禅師に修行僧が「樹葉凋落(ジュヨウチョウラク)の時如何」と問うた。
  すると雲門禅師が「體露金風」と答えた有名な一句。
  樹はしぼみ葉は落ちてしまう時こそ、本体が露出して黄金の天地が現れる。
  自然の姿も人生の妙味も感得できる。      と、説明書きには書かれていました。

 瑞応寺様にははじめての参拝でしたが、御公務でお忙しい中、堂頭和尚様にはわざわざ時間を割いていただき、大変感謝いたしました。 瑞応寺様の大銀杏が「體露金風」の言葉を物語っているなあと思いながら、今後私自身の葉も落としてゆこうと思いました。

 参拝を終えた私たちはその足で道後へ向い、その夜は温泉につかりながらゆっくりとした時間を過ごさせていただきました。

 2日目は先ず砥部(トベ)町の窯元見学をしました。 砥部町は「砥部焼の乳の色なす花瓶に梅と椿をともに活けたり」と正岡子規に歌われ、200年余りの歴史をもつ焼物の町です。 現在、90余りの窯元が点在しているのですが、私たちはゆっくりと歩きながら観賞し、時には工芸士と語り合いながら自分の気に入った焼き物を買いました。

 昼食後は法然寺様に向いました。 このお寺は高松藩松平頼重が1670年に創建した高い格式を誇る名刹です。 境内には法然上人が刻んだといわれる阿弥陀如来像を祀る本堂をはじめ、10万体のお骨でつくられたお骨仏(舎利仏)を祀る書院など、多くの伽藍が建ち並んでいました。 その中でも特に壮観だったのは、全長4.8メートルの釈迦涅槃像を安置する三仏堂(涅槃堂)でした。 お釈迦様をはじめ、その弟子や動物にいたるまで精巧に作られており、まさに生きているようでした。 永源寺では涅槃会の際に涅槃図の描かれたお軸を本堂に掛けるのですが、そこに描かれている様子をさらに詳しく知ることができました。


 愛媛・香川県へは初めての旅でしたが、特に雨にも降られずスムーズに日程を終えることができました。 宗派を問わずお寺を見学し、また宗教とは違う分野のものを観賞することで、幅広い勉強をすることができました。 また、来春より安居(アンゴ:専門僧堂にて修行すること)を予定している私は、その生活ぶりや心構えなどを皆様に教えていただきました。 こちらについてもとても勉強になりました。 ありがとうございました。 今後、同じような機会がありましたら再び参加したいと思いました。 皆様お疲れ様でした。

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